こんにちは、市川市生まれ市川市在住、市民歴24年の篠崎せろり(@sinozakiserori)です。
市川市内で最も栄えていると言っても過言ではない繁華街「本八幡」エリアには、市川市民なら誰でも知っている「絶対に入ってはいけない場所」が存在します。
今回はそんな市川市民なら誰でも恐れる禁足地「八幡の藪知らず」について語りたいと思います。
市川の禁足地「八幡の藪知らず」とは
こちらは新しく建て替えられ2020年から使用が開始される市川市役所。
JR本八幡駅から徒歩5分程度の立地にあり、市民にとってなくてはならない建物です。
そんな新しく綺麗な市川市役所を背にして道路を挟んだ斜向かいに、どう見ても明らかに異様な藪のような場所があります。
市役所よりも駅に近い土地がこのような姿になっているのは市民以外の人からしたら異様な光景でしょう。
この竹藪のような一帯が「八幡の藪知らず」と呼ばれている場所です。
市川市で生まれ育った多くの人は親から「絶対に入ってはいけない」「入ったら迷って出てこれなくなる」と教えられており、市民であればまず入る人はいないでしょう。
広さとしてはさほど広くなく、「もしここが更地だったら一軒家が二軒くらいは建つかなあ」という感じの土地です。
もし実際に入ったとしてもまず「方向感覚を失って出られない」ということはないでしょう。
一部のサイトでは「心霊スポット」の類として紹介されていますが、この場所で何か事件があったという話も聞かないですし、広さとしても狭いのでいわゆる心霊スポットとは全く異な場所だと思われます。
そういう肝試し的なものを想像してわざわざ来た方はがっかりするかもしれません。
現在こちらの八幡の藪知らずは中央の一角が神社になっており、そちらのみ足を踏み入れることが可能です。
こちらの神社は「不知森神社(しらずもりじんじゃ)」というそうです。
こちらが不知森神社の御神体。
近隣の方が定期的にお参りをしているのでしょうか、升には幾らかのお賽銭が入っており、また供えられたお酒も比較的新しいものに見えました。
境内から中をのぞくと、藪知らずの中はかなり竹が密集しているということがわかります。
Wikipediaによると、古くは細竹や漆、松や杉などのざまざまな植物が生い茂って森の様相を呈していたようですが、近年は孟宗竹(モウソウチク)に侵食され敷地内のほとんどは竹になっているようです。
良く見ると枯れた竹が一箇所に集められており、管理人の方かあるいは業者の方がこの竹藪の管理のために足を踏み入れているのであろうという様子がわかります。
神社内は狭い場所ですが、境内にはこのような石碑も。
何が書いてあるかはわかりませんでした。
こちらの石碑には「不知八幡森(しらずやわたのもり)」と書かれています。
市川市が設置した案内板にも同じく「不知八幡森」と表記されていますね。
こちらの看板は先ほどの鳥居の左手側にひっそりと立っています。
解説文を読むと、
- 古くは江戸時代から紀行文などにこの「八幡の藪知らず」が登場
- 決して広くはない藪だが、近隣の人は「入ってはならない」と言い伝えている
と書かれています。
何故入ってはいけないのか?
現地に行って解説文を読んだり、ネットで様々な文献を読みましたが結局のところ「何故入ってはいけないのか?」という確信的な結論にたどり着くことはできませんでした。
おそらく伝承の中で「入ってはいけない」という部分が強調され、「それが何故なのか」という部分が抜け落ちてしまったのでしょう。
有力な説としては以下のような物があるそうです。
水戸黄門(徳川光圀)が当地に訪れた際、迷って出てこれなくなった説
僕自身は親からこのように教わりました。
水戸黄門がこの狭い藪に立ち入った際、方向感覚を失って遭難し、やっと出た際にここを禁足地とし、錦絵を書いてそれが広まったという説です。
しかし「禁足地でなければただの藪でしかないこの場所に、わざわざ水戸黄門が入るのか?」という疑問が拭えません。
おそらくそれ以前からこの場所は禁足地であった可能性が高いと考えられます。
ヤマトタケルの陣屋であるという説・平将門の墓所であるという説
墓所などの神聖な場所であるゆえに祟りを恐れて立ち入ってはならないとした説ですが、文献に乏しく確定的な情報とは言えないようです。
中央の窪地から毒ガスが出ているという説
八幡の藪知らずの中央は少し窪んだ土地になっており、そこから有毒なガスが出ているという説です。
しかし仮に毒ガスが出ているならそもそも近隣に住むことや、この神社に立ち入ることも危険なはずなので信憑性は乏しいです。
「葛飾八幡宮」の旧地や飛地であるという説
この「八幡の藪知らず」から歩いて2分ほどの場所に「八幡」の地名の由来となった神社の「葛飾八幡宮(かつしかはちまんぐう)」が存在します。
文化七年 (1810) 刊行の『葛飾誌略』には、
地元の古老の話では(八幡の藪知らずがある場所は)仮遷宮(本殿落成の間や社殿改築工事の間、神体を移しておく仮の社殿)だった、とある。また、この地には死んだ動物を供養するための八幡宮の池があり、周囲の人々から「むやみに池に入ってはいけない」と言われていたものが、この行事が廃れたために「入ってはならない」という話だけ今に残ったのではないか
と記されているそうです。
行徳地区の飛地(入会地)であるという説
この地は元々市川市行徳地区の飛地であり、地元である八幡の住民は当地に入れないため、このような伝説ができたという説があるそうです。
現在では別に市や町単位の飛地であろうと普通に人が行き来できるため、当時の温度感が分からないのですが、だとすると「絶対に入ってはいけない」という理由としては弱いのではないか?と感じます。
まとめ
ということで市川市八幡にある「入ったら二度と出てこれない」と言われる禁足地、「八幡の藪知らず」についてお話ししました。
- 本八幡駅から徒歩5分、市役所目の前の好立地にあるのに絶対に更地にならない異様な場所
- 中央の「不知森神社」以外は入ってはいけないと言い伝えられている
- 何故入ってはいけないか?は今のところ定かではない
ということで、普段から地元民にとっては身近なこの「八幡の藪知らず」について改めて調査をしてみました。
理由が定かでなくとも、何世代にも渡って「入ってはいけない」と言い伝えられている理由は絶対にあるはずです。
市川市以外にお住まいの皆様も決して興味本位で足を踏み入れないことをオススメします。